下まぶたの治療

下まぶたの治療について

下まぶたは、老化が現れやすい部分です。他にも、下まぶたの形によっては影ができ、それがクマとなって疲れた印象を与えることがあります。主に老化による下まぶたの変化を、手術によって改善する方法を説明しますが、若い方に提供する手術も同じですので参考にしてください。

下まぶたの構造

下まぶたの構造

下まぶたの構造は、上まぶたの構造をそのまま鏡に映したように上下を入れ替えたような構造になっています。下まぶたと上まぶたの一番の違いは、その動きです。上まぶたは瞬きのたびに大きく上下に動きますが、下まぶたの動きはわずかなもので上まぶたほど大きくはありません。

実際の構造は、皮膚の下には眼輪筋があり、その下には眼窩隔膜があり、眼窩隔膜の中には眼窩脂肪が収まっています。上まぶたの眼瞼挙筋のような大きく動く筋肉はありませんが、その代わりに瞼板筋、下直筋と連続しています。そして下まぶたの皮膚は頬の顔面骨と眼窩頬部靭帯のような比較的しっかりした組織で結ばれているのも重要な構造です。

下まぶたの老化

下まぶたの老化

下まぶたは、上まぶたと違って動きが問題になることは少ないので、美容外科では形態が問題になります。もちろん下眼瞼の内反症、逆睫毛や外反症などの機能的な問題もあるのですが、それらは保険診療の適応となることが多いので、形成外科の受診をお勧めしています。

特に美容外科で問題になりやすいのは、「しわ」や「たるみ」の変化です。

「たるみ」の原因と治療

老化によって皮膚は弛んでいき、下まぶたは非常に皮膚が薄いため「ちりめん皺」と呼ばれる細かい皺ができてきます。

弛んでくるのは皮膚だけではありません。眼輪筋、眼窩隔膜、靭帯の全てが弛んできます。さらに、骨格も変化してきます。つまり皮膚だけの手術では、その治療としては不十分ということが分かります。

当院は下まぶたの老化の治療を「足し算」と「引き算」で説明しています。余ってきた組織を「引き算」で減らし、減ってきた組織を「足し算」で増やすことで、その原因を根本的に治していこうという考え方です。

「引き算」の治療

例えば、眼窩隔膜が弛んでくると、その中に収まっている眼窩脂肪が前に溢れ出てきて、目袋やクマの原因となります。その場合は、余分な眼窩脂肪に対して「引き算」の治療が必要です。眼窩脂肪を減らすことで症状を改善することができます。脱脂術はこちら

弛んでくるのは眼窩隔膜だけではありません。皮膚や眼輪筋も弛んできます。その場合、脱脂術で奥にある眼窩脂肪だけを減量すると、その上にある皮膚は余計に余ってしまい、ちりめん皺やたるみを余計に悪化させる可能性があります。その場合は「引き算」の治療で、弛んでしまった皮膚を切り取る手術が有効です。下眼瞼リフトはこちら

「足し算」の治療

下まぶたの老化は組織が弛むだけではありません。例えば、頬部脂肪体が下垂するという変化です。これにより頬はこけ、頬ぼねは突出します。皮膚と頬の顔面骨を結ぶ靭帯が付着している部分に、その上にある皮膚や脂肪が乗りかかってくるため、弛みと凹みが目立ってきます。

下まぶたのシワと構造

まぶたと頬の境目には、眼窩頬部靭帯という丈夫な構造があります。眼窩隔膜や皮膚が弛んで下の方に落ちてくると、この靭帯で引っかかるために、たるみは大きくなり目立ってしまいます。丈夫な靭帯ですが、これも老化によりたるんで下の方に移動していきます。すると目袋は下の方に広がってしまいます。

つまり眼瞼の弛みである目袋が、膨れるだけでなく、大きくなってくるのです。さらには靭帯の部分にできる皺は、溝となり、その凹みは深くなります。

凹みを埋めるには「足し算」の治療が必要です。

一番簡単なのはヒアルロン酸による「足し算」の治療です。ヒアルロン酸は元々人体が有している成分で、注射により「足す」ことが可能です。

全ての治療には長所と短所があります。ヒアルロン酸は手術ではなく、注射だけで非常に簡単に治療が終了します。しかし、数ヶ月で人体に吸収されてしまいますので、繰り返しの治療が必要になります。また万一血管内に入ってしまうと、血管を詰まらせて、最悪の場合には失明を生じるなどのリスクがあります。

「足し算」の材料として有力なものに脂肪注入があります。お腹や太ももから脂肪吸引という方法で採取してきた脂肪を、遠心分離機にかけて余分な成分を取り除き、純度を高めた脂肪を注射器で注入するという方法です。ヒアルロン酸に比べて脂肪吸引の負担が増えますが、一度生着した脂肪はずっと残ります。

「引き算」と「足し算」の複合治療

「引き算」の治療で余った組織を捨てて、「足し算」の治療で他所から採ってきた組織を加える、という説明をしました。考えてみると、もったいないです。捨てるくらいなら、その組織を活用すれば良いのです。目袋で余っている脂肪を、凹んだ部位に移動させる手術があります経結膜的眼窩脂肪移動術(裏ハムラ)はこちら

このように『下まぶたのたるみ取り』は実はとても奥の深い分野なのです。

ここに書いただけでなく、経結膜的眼窩脂肪移動術(裏ハムラ)と脂肪注入術を組み合わせたり、落ちた頬部脂肪体を引き上げる手術を組み合わせる手術も可能です。

ただし忘れてはならないのが、『やればやるほど良いわけではない』ということです。例えば、眼窩脂肪の膨らみがさほど大きくもないのに、経結膜的眼窩脂肪移動術(裏ハムラ)を行う必要はまったくありません。大事なことは、患者様ごとに老化の進み方は違うことを理解し、必要な治療を相談するということです。

ぜひしっかりと相談に乗ってくれるドクターを探して、相談に乗ってもらってください。当院ではゆっくりと時間をかけて、相談にのりますので、本ホームページをご覧になって、興味を持たれた方は遠慮なく受診なさってください。

手術詳細

脱脂術

脱脂術

脱脂術は、主に下まぶたの「目袋」や「クマ」に対する治療として行われる手術です。

専用の器具を挿入し、余分な脂肪を取り除くことで部位の形状を改善します。

術後の傷は残らず、翌日から洗顔も、お化粧も可能です。

目の下のたるみが気になる方、目の下のくまが気になる方などに有効です。

下まぶたのたるみ取り(下眼瞼除皺術)

下まぶたのたるみ取り(下眼瞼除皺術)

下瞼のたるみ取り(下眼瞼除皺術)は、下瞼のたるみを改善するために行う手術です。

睫毛の生え際付近の余分な皮膚や脂肪を取り除くことで、下瞼のたるみを改善します。

皮膚のたるみがひどくなり、余っている場合には除皺術で皮膚のたるみを取ってあげることが有効です。

術後の傷は、時間の経過とともにほとんど目立たなくなります。

経結膜的眼窩脂肪移動術(裏ハムラ)

経結膜的眼窩脂肪移動術(裏ハムラ)

経結膜的眼窩脂肪移動術(裏ハムラ)は、結膜側を切開して、目の下の窪みやたるみを改善するために行われる手術です。

余っている眼窩脂肪を凹んでいる目の下に移動させ、窪みやたるみを改善します。

全ての工程を下まぶたの裏側から行い、見える場所にメスを入れないので傷が表に出ることがありません。

目袋の膨らみがひどく、なおかつ目袋の下にできる溝が深い方に有効です。

経皮的眼窩脂肪移動術(表ハムラ)

経皮的眼窩脂肪移動術(表ハムラ)

経皮的眼窩脂肪移動術(表ハムラ)は、皮膚側を切開して、目の下の窪みやたるみを改善するために行われる手術です。

余っている眼窩脂肪を凹んでいる目の下に移動させ、窪みやたるみを改善します。

皮膚を切開するため、余剰皮膚のある場合は同時に皮膚の余りを取り除くことができます。

目袋の膨らみがひどく、なおかつ目袋の下にできる溝が深い、さらには皮膚の弛みもひどいような方に有効です。

経皮的眼窩脂肪移動術(表ハムラ)の注意点

施術時間
約60~90分
洗顔・入浴・メイク
洗顔・シャワー・メイクは患部を避けて当日から、入浴・患部のメイクは抜糸後(約1週間後)翌日より可能
ダウンタイム
腫れや内出血は1~2週間程で引いていき、約3~4ヶ月で自然な状態になります。
合併症・副作用
感染/血腫/内出血/腫れ/傷跡//左右差/複視/下まぶたの外反/逆まつ毛/涙袋の消失/糸の突出/白目や角膜の損傷/眼球の火傷

たれ目形成

たれ目形成

たれ目形成は、目尻をわずかに下向きに修正し、位置を調整することで自然なたれ目を形成する手術です。

瞼の内側から経結膜的に行う場合と外側から経皮的に行う場合があり、患者様の仕上がりのご希望や目元の形状を確認した上で適切な方法をご提案します。

目元の印象を優しく見せることができるため、きつい印象や鋭い目元を和らげたい方に有効です。

たれ目形成の注意点

施術時間
約60~90分
洗顔・入浴・メイク
洗顔・シャワー・メイクは患部を避けて当日から、入浴・患部のメイクは経皮側の場合は抜糸後(約1週間後)翌日より可能
ダウンタイム
腫れや内出血は1~2週間程で引いていき、約3~4ヶ月で自然な状態になります。
合併症・副作用
感染/血腫/内出血/腫れ/傷跡/左右差/後戻り/目の閉じづらさ/下まぶたの外反/結膜浮腫/逆まつ毛/涙袋の消失/糸の突出/白目や角膜の損傷/眼球の火傷/

脂肪注入

脂肪注入

涙袋形成やくぼみ目形成に適した注入療法です。皮膚を内側からボリュームアップさせます。

患者様ご自身の腹部や太ももなどから脂肪を採取し、遠心分離法で純化して適切な部位に注入します。安全性が高く、生着した脂肪は半永久的な効果が期待できます。

目元にボリュームを与え、自然な影を作り出し、より若々しい目元の印象を与えます。

脂肪注入の注意点

施術時間
約60分
洗顔・入浴・メイク
当日から可能
ダウンタイム
腫れや浮腫みは2~3日程で引いていき、内出血は1~2週間程度で治まります。
合併症・副作用
感染/内出血/腫れ/浮腫み左右差/凹凸や硬さ/血流障害/アレルギー/しびれ

ヒアルロン酸注入

ヒアルロン酸注入

涙袋形成やくぼみ目形成に適した注入療法です。皮膚を内側からボリュームアップさせます。

ヒアルロン酸は、元々人間の体内に存在している成分です。安全性が高くアレルギー症状が出ることがほとんどありません。

一般的に4ヶ月から1年程度持続します。永久的なものではなく時間とともに徐々に肌に吸収されていくので、少しずつ元の状態に戻ります。効果を長持ちさせたい場合は、効果が切れる前に再度注入すると長く保つことができます。

ヒアルロン酸注入の注意点

施術時間
約30分
洗顔・入浴・メイク
当日から可能
ダウンタイム
腫れや浮腫みは2~3日程で引いていき、内出血は1~2週間程度で治まります。
合併症・副作用
感染/内出血/腫れ/浮腫み/左右差/凹凸や硬さ/血流障害/アレルギー/しびれ