フェイスリフト

• ほうれい線の改善
• マリオネット線の改善
• 顎のラインの改善
• 首のシワの改善

フェイスリフトの欠点を上げるのなら、手術の規模が大きく、ダウンタイムが長いことです。

• 顔面神経麻痺

  

  SMASという膜のすぐ下には、顔面神経という顔の動きに重要な神経が走行しています。そのため、非常にまれではありますが、フェイスリフトは顔面神経を損傷する危険性があります。まれとはいえ、万一顔面神経が損傷された場合には、表情に大きな障害が残ります。

  例えば、額に向かって走行する枝が損傷された場合には、前頭筋が動かなくなるため、眉毛が垂れ下がり、それにつれて瞼も垂れ下がってしまいます。

  当院ではこれまでに、顔面神経の走行部位を術中に把握できる方法を検討し、発表を重ね、安全な手術の開発を心掛けてきました。それでも、合併症の可能性がゼロにはならないことをご理解ください。

• 傷あと

  フェイスリフトの切開は、傷あとが目立たない部分を選んで行い、傷あとが目立たない縫合方法を用いて丁寧に細かく縫合します。

  しかし、皮膚を切開する以上は傷が残ることは避けられないことをご理解ください。

• 血腫

  広い範囲の皮膚を剥がす手術ですので、皮膚の下に血液が溜まってしまうことがあります。ほとんどの場合は、自然に吸収されるのを待つだけで、特別な治療は必要としないで済みますが、まれに縫合した糸を抜いて、血腫を押し出したり、注射で抜くような処置を必要とする場合があります。

  当院では血腫の予防を目的に、細く切ったシリコンのチューブを留置しておき、血液がそのチューブを伝って外に出るような処置を行っています。ほとんどの患者様で、チューブは翌日には抜いてしまいます。抜いた後は自然に傷口は閉じるので心配は不要です。

• 唾液ろう

  耳下腺という唾液を作る臓器が損傷された場合、例えば傷口から透明な唾液が漏れることがあります。多くの場合は、傷口の処置を行うだけで改善しますが、少々お時間がかかります。

• 感染

  手術である以上、感染(傷口が化膿すること)の可能性はゼロではありません。

  当院では適切な抗生剤の使用、清潔操作の徹底に加えて、高度に管理された手術室で手術を行うことにより、感染の減少に努めています。

• 皮膚の壊死

  皮膚を広く、薄く剥がす手術なので、皮膚の血流が不安定になることがあります。皮膚の血流が悪くなると、皮膚に酸素が行き渡らなくなり、組織がダメージを受けてしまいます。そのひどい状態が壊死です。

  多くの場合は、軟膏を用いて、傷口の安静を守ることで治癒しますが、場合によっては追加の処置(壊死した部分を取り除く)が必要となることもあります。

• 左右差

  手術中は、左右同じ操作を行うように細心の注意を払っています。しかしながらどうしても左右差が生じることがあります。場合によっては修正の手術を追加することもあります。

• 後戻り

  どれだけしっかりと引き上げても、時間が経過すると徐々にシワやたるみは、再び現れてきます。

  アンチエイジングの手術全てに言えることですが「アンチエイジングの手術は、時計の針を巻き戻すものです。時計の針を止めることはできません。手術が終わったその瞬間から、ふたたび時計は動き始めます。」という点をどうぞご理解ください。

最近、多くの美容外科において「糸のリフト」が盛んに宣伝されています。

トゲ(棘)付きの糸や、コーン付きの糸を、顔の皮膚の下に挿入して、たるみを引き上げる治療法です。

長所

• 糸を入れるだけなので、皮膚を切開しなくても良い
• ダウンタイムが短い

短所

• 効果は長持ちしない
• 厚生労働省の承認を得た、リフト用の糸は存在しない

当院では、効果が長持ちしないことは大きな問題であると考えています。

また皮膚を切開しないことは、すなわち皮膚を切除できないということです。つまり糸でリフトした(引き上げた)皮膚は、行き場所がないので、その部分にたるみとして残ってしまうのです。そしてそれは美容的に決して好ましいものではありません。以上の理由から、当院では積極的にはお勧めしていません。

もちろん糸のリフトを完全に否定しているわけではなく、患者様が長所と欠点をご理解の上、お受けになるのは問題ありません。

ただし近年、SMASリフトに糸のリフトを組み合わせた方法が報告されています。こちらは当院でも取り入れておりますので、もしご興味をお持ちの方はご相談ください。