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 上まぶたの治療 

二重まぶたの手術

まぶたの構造と働き

 まぶたには眼球を保護するという大きな役割があります。 単に強い光や、外力から守るだけでなく、涙やワックス成分を行き渡らせることで、埃を取り除いたり、乾燥を予防する重要な役割も担っています。 まぶたはたとえて言えば、お店のシャッターのように窓ガラスを守るだけでなく、車のワイパーのように雨粒をふき広げるような仕事もしているのです。ではまぶたの構造をその働きと一緒にみていきましょう。

上まぶたの解剖図

図1(※クリックで拡大)

 まずは図1をもとに、まぶたを開ける構造を、まぶたの縁から順番にみていきましょう。

 まぶたの一番縁側には(1)瞼板(けんばん)という軟骨のように硬い板が、瞼の縁に沿って端から端まで横たわっています。瞼板の中にはマイボーム腺があり、脂分を分泌しています。瞬き(またたき)のたびに、この脂分が涙と一緒に、眼球の表面に行き渡って、乾燥から守ります。 その瞼板にまぶたを持ち上げる筋肉である(2)眼瞼挙筋が付着しています。眼瞼挙筋は瞼板の近くでは、(3)挙筋腱膜と呼ばれる非常に薄い膜になって付着しています。眼瞼挙筋が収縮する→挙筋腱膜が引き上げられる→瞼板が持ち上げられる→まぶたが持ち上げられる、という一連の流れでまぶたは開くのです。 挙筋腱膜の形状には個人差が大きく、(4)挙筋腱膜が枝分かれして皮膚と連絡している人や、その連絡が弱い人など様々です。後で述べますが、二重まぶたと一重まぶたの違いの原因の一つとなっています。
 さらに細かいところまで見てみると、眼瞼挙筋の裏には(5)ミュラー筋という筋肉が走行しています。ミュラー筋も眼瞼挙筋と一緒に働いて、まぶたを開ける筋肉ですが、眼瞼挙筋とは異なる神経の支配を受けています。あくまでまぶたを開ける主役は眼瞼挙筋であり、ミュラー筋の役割はその補助的なものと考えられていますが、ミュラー筋が障害されると、まぶたの違和感や痛みを生じます。ひどい場合には眼瞼痙攣を生じて、まぶたが開けることができくなくなることもあり、重要なものと考えられています。

 次に、まぶたの皮膚の表面から構造を考えてみましょう。

 まぶたの皮膚は非常に薄く、すぐ下に(6)眼輪筋という筋肉が、その名のとおり上まぶたと下まぶたを取り囲む輪のように走行しています。ただし上まぶただけを見ると、横向きに走行しているように見えます。
 眼輪筋の下には、挙筋腱膜が折れ返って袋状につながった(7)眼窩隔膜という非常に薄い膜があります。眼窩隔膜と挙筋腱膜の間には(8)眼窩脂肪が包み込まれています。 眼窩隔膜と眼輪筋の間には(9)ROOF(後眼輪筋脂肪)や隔膜前脂肪と呼ばれる脂肪の層があります。美容外科的には「厚ぼったいまぶた」の原因と考えられることがあります。

一重まぶたと二重まぶたの違いは?
上まぶたの解剖図(一重まぶた)

図2(※クリックで拡大)

 (4)挙筋腱膜と皮膚の連絡が弱い人のまぶたは図2のように開きます。 眼瞼挙筋が収縮し→挙筋腱膜を引き上げ→瞼板を引き上げて→まぶたが開きますが、挙筋腱膜と皮膚の間に連絡が無いため、皮膚には変化が起こりません。 つまり一重まぶたです。





上まぶたの解剖図(二重まぶた)

図3(※クリックで拡大)

 一方で(4)挙筋腱膜と皮膚の連絡が強い人のまぶたは図3のように開きます。 眼瞼挙筋が収縮し→挙筋腱膜を引き上げ→瞼板を引き上げて→まぶたが開くのは同じです。しかし、挙筋腱膜と皮膚の間に連絡があるため、(2)収縮した眼瞼挙筋の力が皮膚にまで伝わり、皮膚も引き上げられます。その部分で皮膚が折れ曲がって、皮膚が覆いかぶさって、段差が生まれます。 これが二重まぶたです。



二重まぶたの手術とは
上まぶたの解剖図

図1(※クリックで拡大)

 先に述べましたように、“二重まぶたを作る”=“まぶたを開いた際に皮膚が一緒に引き上げられる構造を作る”ということはおわかりいただけたかと思います。
一般的には、埋没法と切開法に分けて考えることが多いのですが、二重まぶたの構造を学んでいただいたので、そちらの方向から手術を考えていきましょう。



二重まぶた・瞼板法

図4(※クリックで拡大)

 まずはまぶたの皮膚を(1)瞼板に縫い付けてしまう方法です。
切開せずに小さな針穴から糸を通して、皮膚と(1)瞼板を連結させることが可能です(埋没法による瞼板法)。皮膚を切開して、皮膚の裏側の組織を一部切除して、皮膚と(1)瞼板を縫合することも可能です(切開法による瞼板法)。この方法は非常に取れにくい、しっかりとした重瞼線を作成できることが長所ですが、まぶたを閉じた状態でも縫い付けた部位が凹んでしまい、目立ちやすいことがあるのが欠点です。




二重まぶた・挙筋法

図5(※クリックで拡大)

 皮膚を切開せずに、小さな切開から、細い糸を使って、皮膚と(2)眼瞼挙筋を連結させる方法です(埋没法による挙筋法)。
糸を締め上げることなく、余裕を持たせるように工夫することで、まぶたを閉じた際には凹まないように仕上げることができます。
埋没法は皮膚を切開しないためダウンタイムの点で非常に優れた方法です。しかしながら(2)眼瞼挙筋の力が弱い方には不適であったり、すべての方に適した方法ではありません。
また糸の通し方には色々な方法がありますが、その原理を理解して選択することが非常に重要です。


二重まぶた比較図
二重まぶた比較図

図6(※クリックで拡大)

 私たちが切開法を行う場合に、主に行なっている方法で、(8)眼窩脂肪を取り囲んでいる(7)眼窩隔膜を用いて、皮膚と(3)挙筋腱膜を連結させるというものです(切開法による挙筋法)。
図3と図6(※クリックで拡大)を比べていただくとわかるように、生まれつきの二重まぶたに近い構造を作ることを目的としています。
この切開法は、まぶたを閉じても凹みはほとんどない仕上がりが期待できるだけでなく、まぶたを開く際の(2)眼瞼挙筋の収縮が(3)挙筋腱膜を介して直接伝わるため、皮膚がしっかりと引き上げられて、自然な深い二重まぶたを作ることができます。ただし皮膚と(3)挙筋腱膜を縫合した部位が外れる可能性はゼロではなく、もし外れてしまった場合には、重瞼線も消えてしまうため、再手術が必要になります。

 美容科の中でも、一番たくさん外の患者さんが手術を受けておられるであろう二重まぶたの手術ですが、しっかりと説明を受けて、理解した上で、術式を選択されるようお願いします。

(文責:神戸大学病院美容外科診療科長 原岡剛一)

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