開講コース

高齢者医療コース高齢者医療コース

認知障害・在宅医療などのケアを中心とする高齢者医療の分野において、多職種協働・スキルミクスを考慮した、より良いチーム医療を実践するために、メディカルスタッフにとって必要な専門的知識を多職種間において幅広く共有できるように習得し、技術を実践できる能力を有する者を育成する。

達成目標達成目標

  • 1.高齢者の特性・生理、および老年症候群といわれる高齢者において重要な症候について知る。
  • 2.高齢者総合機能評価や認知機能評価について知る。
  • 3.高次脳機能ならびに認知障害の分類、病態、疾患、画像診断、
    アプローチ法およびケアについて知る。
  • 4.高齢者における栄養の評価と管理、薬剤療法における副作用と注意点を知る。
  • 5.高齢者における運動機能、リハビリテーションの基本概念を知る。
  • 6.高齢者における廃用症候群・歩行障害の病態、転倒・骨折の予防について知る。
  • 7.高齢者に対する口腔ケア、嚥下機能の概念と言語・嚥下リハビリテーションについて知る。
  • 8.高齢者における皮膚の特徴、スキンケア、フットケア、褥瘡ケア、失禁ケアについて知る。
  • 9.高齢者医療制度、患者支援システム、地域連携について知る。

カリキュラム概要カリキュラム概要

高齢者医療コースでは、認知障害・在宅医療ケアエキスパート育成コースというカリキュラムを設定した。

認知障害・在宅医療ケアエキスパート育成コース

認知障害の診療や在宅医療では、医師、看護師、薬剤師、理学・作業療法士、栄養管理士、心理士、社会福祉士、介護士など多くの職種の協働作業が必要となる。
本コースでは、神戸大学大学院医学研究科の教員に加え、同保健学研究科教員、兵庫県立大学看護学部・環境人間学部教員、神戸薬科大学教員や神戸大学医学部附属病院の認知症疾患医療センター、患者支援センター、看護部、薬剤部、栄養管理部、医療技術部、リハビリテーション部スタッフが教員として、専門性の高い講義と外来・病棟の見学や各種評価法の実習を実施した。
コース内容を下記に示す。

課題1 高齢者医療一般、高齢者の運動機能
【 到達目標 】
  • 1.高齢者の特性・生理と老年症候群といわれる頻度の高い病態を理解する。
  • 2.高齢者の運動機能とその障害を理解する。
【 講義 】
  • 1.「高齢者医療全般論」
    (担当:神戸大学大学院医学研究科・保健学研究科教員)
  • 2.「高齢者の運動機能・リハビリテーション」、「歩行障害・転倒・廃用症候群」
    (担当:神戸大学大学院医学研究科教員、理学・作業療法士)
【 見学・実習 】
  • 1.総合内科における外来見学
  • 2.リハビリテーション部における見学、症例検討
課題2 高次脳機能、認知障害
【 到達目標 】
高齢者の高次脳機能、認知機能症状を理解し、高齢者に対する機能評価を理解し、実践する。
【 講義 】
「高次脳機能」、「機能評価法、その解釈方法」、「認知症総論」、「神経疾患各論・症候学」
(担当:神戸大学大学院医学研究科・保健学研究科教員、認知症看護認定看護師、臨床心理士、精神保健福祉士)
【 見学・実習 】
全般的評価法としての高齢者総合的機能評価、認知機能のスクリーニング検査の実習
さらに詳細な高次脳機能評価について各種心理検査セットの実習
神経内科外来・病棟ならびに認知症疾患医療センターの見学
認知症のDVD教材により認知症者の世界を体感し、事例を通して実践的なケアについて考える実習
課題3 高齢者の栄養管理
【 講義 】
「高齢者の栄養学的な現状と栄養管理」
(担当:神戸大学大学院医学研究科・保健学研究科教員、兵庫県立大学教員、栄養管理士)
【 見学・実習 】
栄養アセスメントキットを用いた栄養評価法の実践
栄養・輸液サポートチームによる入院患者を対象とした栄養管理のためのミーティング・回診への参加
課題4 高齢者の口腔ケア、摂食・嚥下障害
【 講義 】
「咽喉頭の解剖」、「高齢者の嚥下機能の特徴」、「摂食・嚥下障害の有する患者の早期発見法、正しい介入方法」
(担当:神戸大学大学院医学研究科・保健学研究科教員、兵庫県立大学教員、摂食・嚥下障害看護認定看護師、歯科衛生士、言語聴覚士)
【 見学・実習 】
摂食・嚥下障害の専門外来診療実習:ビデオ内視鏡検査の見学により嚥下障害の病態を理解し、障害の原因、摂食の方法、リハビリテーションの方法、食事内容、口腔ケアの方法などについて医師、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士などが相談しながら治療方針を決定していく過程を見学
課題5 高齢者の薬物療法
【 講義 】
「医薬品添付文書の読み方、情報の収集・評価・加工・提供」、「薬物の体内動態(吸収・分布・代謝・排泄)」、
「各剤形での吸収経路、薬剤の投与方法および注意点について」、「薬物間相互作用・重篤な副作用への注意点」、
「体内動態に影響を与える様々な因子への対応」、「認知症治療薬について」
(担当:神戸大学大学院医学研究科・保健学研究科教員、神戸薬科大学教員、薬剤師)
【 見学・実習 】
病棟実習:実際の症例に基づき、薬剤管理指導業務を見学
課題6 高齢者の褥瘡・スキンケア
【 講義 】
「難治性皮膚潰瘍を起こしやすい糖尿病」、「動・静脈疾患」、「膠原病などの病態」、「高齢者の皮膚の特徴」、
「スキンケアの基本」、「褥瘡のリスクアセスメント」、「褥瘡予防ケア」、「褥瘡の観察と評価、褥瘡の治療、チーム連携」
(担当:神戸大学大学院医学研究科、皮膚・排泄ケア認定看護師)
【 見学・実習 】
下肢モデルや褥瘡ケアシミュレーターを用いた、体圧測定、体圧分散用具の使用、
座位姿勢のスキンケアに対する影響、創傷被覆材の使用などに関する知識の実践活用
課題7 高齢者の在宅医療
【 講義 】
「在宅医療に関するシステム論」、「高齢者医療制度」、「医療介護福祉の動向」、「各種制度利用や地域連携、退院支援」
(担当:神戸大学大学院医学研究科教員、患者支援専任看護師、社会福祉士)
【 見学・実習 】
カンファレンスに参加 多職種で依頼内容と患者の状態を確認し、支援の方向性について検討する過程を学習